「私は拳銃を構える。<br />恐怖にひきつった顔を思い描くだけで、胸のもやもやが晴れていく」──。<br />久しぶりの同窓会で、夜の街に出た平凡な主婦。<br />酒に酔い、歌舞伎町に流れ、家出少女から受け取った小さな包みの中身は、なんとコルトの刻印がある拳銃。<br />しかし、なぜか主婦は警察に届けず、化粧ポーチに仕舞いこむ。<br />拳銃の魔力は、日常に倦んだ人々を、見知らぬ相手に結びつけ、狂気に巻き込んでいく。<br />巧みな構成で魅了する5つの連作短篇集。<br />原題『引金の履歴』を改題。<br />