じいさんが死んだ夏のある日、孫の良嗣(よしつぐ)は、初めて家族のルーツに興味を持った。<br />出入り自由の寄り合い所帯、親戚もいなければ、墓の在り処もわからない。<br />一体うちってなんなんだ? この際、祖父母が出会ったという満州へ行ってみようか──。<br />かくして、ばあさんとひきこもりの叔父さんを連れた珍道中が始まる。<br />満州、そして新宿。<br />熱く胸に迫る、小さな中華料理屋「翡翠飯店」三代記。<br />伊藤整文学賞受賞作。<br />