大阪は通天閣の下に、漫才師、奇術師、浪曲師といった芸人たちがあつまり住む一郭‘てんのじ村’があった。<br />戦前、戦後、そして高度経済成長期と、大阪芸人の活躍の場が、寄席からラジオ、テレビへと移りゆくなか、時代の波にとり残された八十二歳と五十五歳の漫才コンビ。<br />しかし、その二人に、たった一度だけ華やかなテレビのスポット・ライトが当てられる日が来たのだが??。<br />身を寄せあって生きていく善意の人々の哀歓を、しみじみと描いた第91回直木賞受賞作。<br />