夫の給料をつましくやり繰りして、家事と内職で毎日が過ぎていく平凡な主婦に訪れた恋。<br />‘人妻の恋の逃避行’(そして、気になるその後)をあざやかに描いた表題作。<br />家族のために頑張って、気がついたらそろそろ30歳…な主人公の微妙な恋心を衝いた「幸福」と「胡桃の部屋」。<br />大人になって出会った異母兄弟の愛憎をえがく「下駄」。<br />突然の飛行機事故により、向田邦子の絶筆となった「春が来た」。<br />いずれも読んだら忘れられなくなる、まさに珠玉の5篇。<br />