「ワシは大関なんかなりたくない」昇進がきまった日に、天才力士とうたわれた関脇御前山は、当惑し憤慨する相撲関係者や驚く記者を尻目に突然姿を消してしまった。<br />いったい彼に何が起こったのか(「一瞬の栄光」)。<br />他に力士や親方たちの人生を活写する「走れ幕下」「摺り足の秘密」「タニマチ」。<br />行司や呼出したちに材を取った「差し違い」、「蛇の目の柝」など、大相撲を舞台にして様々な人間模様をいきいきと描き出した相撲小説の醍醐味八篇。<br />