北海道在住の元ブリキ職人の夏目清茂、74歳。<br />ある日、若い友人とスナックで1杯やっていたところ突然脳梗塞の発作を起こし、昇天。<br />その死を悼む娘・息子、遠い昔に別れた元妻、そしてさまざまな友人・知人たち……。<br />葬儀の日まで、そして葬儀の際に彼らが思い出す清茂の姿は、機嫌がよく、優しく、世話好きで――謎の部分もあった。<br />清茂の葬儀を中心に、いくつもの人生が追憶と回想の中で交差する。<br />『田村はまだか』で吉川英治文学新人賞を受賞した著者の傑作長篇小説。<br />