わずか三歳でロスアンジェルスから一人、日本へ送られた恵里子は、実の母に捨てられたショックで失語症に陥る。<br />家にいるのは気性のはっきりした叔母と口さがない祖母のふたり。<br />隣家には「ネコババ」と祖母が呼ぶ女性。<br />ネコババの家にはやさしいおじさんと「ネコバン」。<br />行き場のない幼い少女の心をなぐさめるのはネコたち。<br />生みの親が不在の家庭で、恵理子は人間のきずなというものを学んで成長していくが……。<br />芥川賞受賞の表題作ほか二篇を収録。<br />