昭和40年の暮れ、上野、池之端にある江戸から続く老舗糸屋の当主・清兵衛が亡くなった。<br />あとに残されたのは美しき三姉妹――長女として老舗を守るしっかり者の藤代、のんびり屋の次女喜久子、そして若くて活発な末っ子の桃子。<br />下町人情の機微に揺れながら、3人の娘がたどる三者三様の愛と人生の哀歓を描く表題作ほか、2編。<br />