丹波大介に身内を殺された恨みを持つ伊賀忍者たちは、妻をおとりにつかい、とうとう大介を呼び出すことに成功する。<br />月も星もない闇夜であった。<br />あきらかに、多数の敵が自分を包囲しつつある。<br />(しまった……。<br />)忍びの風上にもおけぬ、大介は自分をののしりつつ走りつづけた。<br />──太閤亡き後も豊臣家に衷心をつくす加藤清正を、徳川家康は陰に陽に追いつめる。<br />家康の魔手に立向う、大介、老獪な女忍者、於蝶ら名忍びたちの活躍を描いた忍者小説。<br />