響灘 (ひびきなだ) そして十二の短篇
休みでもとってみるか。
家族サービスでなし、ゴルフでもなし、休暇の理由はとくに会社には言わずに……。
一見ごくありふれたサラリーマンが思いついた、わずか二日間の旅の行き先は暖流と寒流がぶつかりあって、波が立ち、音をたてるという響灘だった。
六年前に別れた愛人から電話をもらった男は、二日だけ休暇をとって、そこを訪ねることにした。
──不思議な海が二人だけの景色となって騒いでいる──。
再会した男と女の一夜を美しく描いた表題作と、家族をテーマにした連作短篇十二篇。
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