夫の知己を名のる男に凌辱され、ついには激情にかられて男を殺してしまった下級藩士の妻・芙佐。<br />死体を沈めた沼は一面氷におおわれたが、芙佐の悪夢はまだはじまったばかりだった……。<br />時代の大きなうねりに呑みこまれたひとりの女性が、自らにめざめ、力強く闘う姿を緊迫した筆致と息をのむ展開で描いた長編小説。<br />解説・東直子。<br />