ほかげ橋夕景
おとっつあんは、あたしのことがうっとうしくなったみたい……。
祝言が決まって以来、なにを話しかけても邪険な返事しか返ってこない。
それがおすみには、たまらなく哀しかった。
(「ほかげ橋夕景」より)――娘の祝言が決まった日から急に態度が冷たくなった父親の心情が胸に迫る表題作。
他人の物を盗った息子に右往左往する両親を描く「泣き笑い」、晩年の清水の次郎長が小気味よい「言えねえずら」、土佐の長宗我部家に伝わる文書に秘められた一族の尊い使命「銀子三枚」など、とびっきりの時代人情話8編。
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