明治から大正に移り変わる小樽。<br />活気に満ちた北の街の片隅に、つるの染み抜き屋があった。<br />女の細腕1本で店の切り盛りをするつるのもとには、今日も訳ありの染みが舞い込んでくる。<br />様々な染みに宿る人生と向き合うつる。<br />たまの息抜きは、長屋の住人たちが通う「ちぎり屋」の暖簾をくぐること。<br />消せない過去を抱えた人々が織りなす人間模様。<br />そしてつるにも、決して消えない心の染みが……。<br />心に染み入る連作短篇全5篇。<br />