誰でも逃げたくなるときがある。<br />仕事、家族、恋人。<br />なにもかもうんざりしてリセットしたくなるとき、ぼくはひとりで旅に出る。<br />その冬の終わり、ぼくは季節はずれの海辺のリゾートホテルへ出かけた。<br />選びに選んだ、まだ読んでいない10冊の本をダッフルバッグに詰め込んで、銀色にひかる車に乗り込む。<br />流れるのはモーツァルトのシンフォニー。<br />3泊4日の旅のはじまりだ。<br />魂のささやかな蘇生を描く、静かな物語。<br />