森のはずれで
「九年前の祈り」で152回芥川賞を受賞した小野正嗣の原点。
異国の森のはずれに、幼い息子と住む「ぼく」。
妻は第二子を出産するため実家へと旅立った。
やがて森から不思議な物音が響き、次々に異形の者が現われる。
妻は帰ってこない……。
在るべきものの不在、あり得べからざるものの出現、行くべき場所はなく、帰る家もない者の不安と焦燥、ささやかな慰藉。
連作形式で描出される「奇妙な時間と空間の裂け目の中に生きる」父子は、私たちとどこか似てはいないか。
新芥川賞作家、渾身の意欲作です。
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