中国のはるか奥地を仕事で旅する日本人商社マンが、桃源郷の名をもつ小さな村にふと迷い込んだ。<br />優美な村の名前からは想像もつかない奇怪な出来事が、彼の周りで次々と起こる。<br />謎の溺死体、犬肉を食らう饗宴、つきまとう正体不明の男達……。<br />彼も同行の日本人も、次第に調子がおかしくなってゆく。<br />桃花の薫りがする魅力的な土地の女に導かれるように、知らず知らず村の秘密へと近づき、ついに彼が見た‘真の村の姿’とは。<br />話題の第103回芥川賞受賞作と他一篇を収録。<br />