すれ違う子供が泣き出すほどの醜男の、愚直な恋のゆくえ(「甚三郎始末記」)。<br />騙されていると知りながら待ち続ける遊女の哀しき運命(「風を待つ」)。<br />自ら始末をつけるべく散り急ぐ男に、残された妻の覚悟を描く表題作など、心に染み通る5篇。<br />四季の彩り溢れる情景と、男女の一途な愛を細やかに綴る傑作時代小説。<br />解説・大矢博子