「私、結婚するかもしれないから」「すごいね」。<br />小6の慎は、結婚をほのめかす母をクールに見つめ、母の恋人らしき男ともうまくやっていく。<br />現実に立ち向う母を子どもの皮膚感覚であざやかに描いた芥川賞受賞作に加え、大胆でかっこいい父の愛人・洋子さんと小4の薫の奇妙な夏の日々を爽やかに綴った文學界新人賞受賞作「サイドカーに犬」を収録。<br />子どもの視点がうつしだすあっけらかんとした現実に、読み手までも小学生の日々に引き戻される傑作短篇2篇。<br />