股旅小説ブームの先駆をなした笹沢左保の時代小説。<br />その街道シリーズから四作を収めた。<br />「雪に花散る奥州路」の二本桐の武吉、「狂女が唄う信州路」の抜かずの丈八、「木ッ端が燃えた上州路」の三下の勢五郎、「峠に哭いた甲州路」の天神の新十郎。<br />昔の街道を舞台に、いずれも個性豊かでニヒルな渡世人を主人公にして、推理的手法を駆使して物語を展開、非情な男の世界を描く。<br />時代小説界に旋風をまき起こした「笹沢股旅もの」の真骨頂がもっともよく現れている……。<br />