博奕に溺れたせいで夫婦別れしたおきくが、半年ぶりに訪ねてきた。<br />再婚話の相談で、もう自分には関係ないと一旦は突き放す民次だったが、相手がまぎれもないやくざ者と分かるや、危険を顧みず止めに出る……雪降る江戸深川の夜の橋を舞台に、すれ違う男女の心の機微を哀感こめて描いた表題作ほか、武家物と市井物あわせて全9篇を収録。<br />『暗殺の年輪』で直木賞を受賞し、作家として脂が乗ってきたころの作品群。<br />ひとつひとつが胸に響く‘人生の教科書’のような短篇集。<br />