よろず仲裁を請け負う平四郎にもち込まれる話はさまざまだ。<br />中年夫婦の離縁話、勘当息子の連れ戻し、駆け落ち娘のゆくえを探索……。<br />武家と違い、万事気ままな裏店にも、悲哀にみちた人生絵図がある。<br />初恋の女性の不遇には心を痛め、目付をつとめる長兄には幕府の捜査にこき使われ、剣を抜くことも。<br />いつの間にか平四郎は大忙し。<br />藤沢周平、円熟期の代表的シリーズ、愈々佳境に! 人の世の哀切な陰影を端正に、ときにユーモラスに映し出す話題作。<br />