権勢をほしいままにする蘇我入鹿をじっと窺っていたのが、中大兄皇子と中臣鎌足らの連合勢力だった。<br />彼らは蘇我氏の専横を憎み、唐にならった中央集権国家を樹立しようと謀っていた。<br />ついに皇位までも手に入れようとする入鹿の野望を挫くため、新羅使から皇極女帝への厳かな朝貢儀式の最中、暗殺の刀は振り上げられた。<br />血塗られた宮に、若き入鹿の野望は脆くも潰え去った。<br />乙巳のクーデター=大化の改新の起こるまでを、色鮮やかに描き出す、古代史傑作小説。<br />