死への道はあまりにも近く、生への道はあまりにも遠い……あの太平洋戦争のさなか、ひたすら‘立派な軍国少女’になろうと努めた女学生の青春がここにある。<br />激しい空襲をうけ、次々にかけがえのない肉親や友人を失いながら、なお「お国のため、戦争に勝つため」に生きた主人公、大泉節子。<br />彼女の努力の行きつく先は、結局愛をも美をも滅ぼしつくすことでしかない。<br />そのひたむきな純粋さ、無残さが読者の心を深くとらえた芥川賞受賞作。<br />