釧路で書道教室を開く夏紀は、認知症の母が呟いた、耳慣れない地名を新聞の短歌の中に見つける。<br />父親を知らぬ自分の出生と関わりがあるのではと、短歌を投稿した元教師の徳一に会いに根室へ。<br />歌に引き寄せられた二人の出会いが、オホーツクで封印された過去を蘇らせる……。<br />密漁、マフィア、拿捕……桜木ノワールの原点というべき作品、待望の文庫化!