「世の中に切腹愛好家多しといえども、実際に生の切腹を見たことがある人はなかなかいないだろう。<br />わたしはそのひとりなのだった。<br />」(本文より)かつて切腹のエロスに魅せられた詩人は鴎外に辿り着く。<br />侍たちの死生観をさぐりつつ語りなおす「阿部一族」。<br />日本語を解さぬ夫を看取りながらの「ぢいさんばあさん」。<br />離別、誕生、天災……無常の世を生きるための文学。<br />熊本から異国の空へ、新たな代表作の誕生!