うちの背中の観音様より、色っぽい仏さん、彫ってみ。<br />目をそらしたらあかん……官能と芸道の間で揺れ動く男と女の業(ごう)江戸末期の京都。<br />北近江の十一面観音に魅せられた青年、烏(からす)は、僧になるため京の都にやってきたが、観音像を彫るために仏の道を捨てる。<br />食うために彼が生業にしたのは、生身の女のあられもない姿を掘り出すことだった……。<br />団鬼六賞受賞の、注目の女性作家、初の官能時代小説。<br />