第157回芥川賞受賞作。<br />大きな崩壊を前に、目に映るものは何か。<br />北緯39度。<br />会社の出向で移り住んだ岩手の地で、ただひとり心を許したのが、同僚の日浅だった。<br />ともに釣りをした日々に募る追憶と寂しさ。<br />いつしか疎遠になった男のもう一つの顔に、「あの日」以後、触れることになるのだが……。<br />樹々と川の彩りの中に、崩壊の予兆と人知れぬ思いを繊細に描き出す。<br />第122回文學界新人賞受賞作にして、第157回芥川龍之介賞受賞作。<br />