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瞳のなかの幸福

いままでは、少しだけさびしかった。
でも今は、幸せの意味を知ってる。
金色の目をした小さな「幸福」が教えてくれたこととは――。
東京でカタログ雑誌の副編集長をしている、妃斗美(ひとみ)。
長く付き合ってきた恋人から婚約を破棄された過去を持つ彼女は、その後、35歳になるまで他の人とは恋愛せずに生きてきた。
「姉貴もそろそろ結婚しないと、薹(とう)が立ってくるぞ」実家で弟に心ない言葉をかけられ、やりきれない思いをかかえながら東京に戻ってきた妃斗美の目に留まったのは、不動産屋の「お買い得な一軒家有り」という貼り紙だった。
「家さえあれば、ひとりでも」突然、そんな思いにとりつかれた妃斗美は、理想の家を手に入れるために動きはじめる。
保証人問題など波乱のすえ、やっとのことで家を手に入れた途端、天から降ってくるように訪れたのは、最高のパートナー、猫との出会いだった。
猫は、彼女に何を与え、何を奪っていったのか。
幸せの意味を問い直す、傑作書き下ろし長編。




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