通夜が奇跡の一夜に。<br />芥川賞受賞作ある秋の日、大往生を遂げた男の通夜に親戚たちが集った。<br />子、孫、ひ孫三十人あまり。<br />縁者同士の一夜の何気ないふるまいが、死と生をめぐる一人一人の思考と記憶を呼び起こし、重なり合う生の断片の中から、永遠の時間が現出する。<br />「傑作」と評された第154回芥川賞受賞作に、単行本未収録作「夜曲」を加える。<br />解説・津村記久子