夏物語
世界十数ヵ国で翻訳決定!生まれてくることの意味を問い、人生のすべてを大きく包み込む、泣き笑いの大長編。
著者渾身の最高傑作!大阪の下町に生まれ育ち、小説家を目指し上京した夏子。
38歳になる彼女には、ひそやかな願いが芽生えつつあった。
「自分の子どもに会いたい」――でも、相手もおらんのに、どうやって?周囲のさまざまな人々が、夏子に心をうちあける。
身体の変化へのとまどい、性別役割をめぐる違和感、世界への居場所のなさ、そして子どもをもつか、もたないか。
悲喜こもごもの語りは、この世界へ生み、生まれることの意味を投げかける。
パートナーなしの出産を目指す夏子は、「精子提供」で生まれ、本当の父を探す逢沢潤と出会い、心を寄せていく。
いっぽう彼の恋人である善百合子は、出産は親たちの「身勝手な賭け」だと言う。
「どうしてこんな暴力的なことを、みんな笑顔でつづけることができるんだろう」苦痛に満ちた切実な問いかけに、夏子の心は揺らぐ。
この世界は、生まれてくるのに値するのだろうか――。
芥川賞受賞作「乳と卵」の登場人物たちがあらたに織りなす物語は、生命の意味をめぐる真摯な問いを、切ない詩情と泣き笑いの極上の筆致で描き切る。
ページを繰る手が止まらない、エネルギーに満ちた世界文学の誕生!
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