巡礼の家
今、この世界に一番あってほしい場所とは?『永遠の仔』『悼む人』の著者が描く、現代社会への希望の灯火。
愛媛県・松山市の道後温泉で、三千年余の歴史を重ねた温泉宿「さぎのや」。
複雑な事情を抱え家を飛び出した少女・雛歩(ひなほ)は遍路道で倒れ、美しい女性に声をかけられた。
「あなたには、帰る場所はありますか」。
雛歩が目を覚ますと、遍路道で声をかけてくれたさぎのやの美人女将・美燈(みと)らが、親身に世話をしてくれていた。
さぎのやとは、「帰る場所のない方や、疲れきった方、もう歩けないと泣いている方々を、いつでもお迎えしてきた宿」であると、女将は言う。
行く場所も帰る場所もない雛歩は、巡礼の家である「さぎのや」で、自らの生き方と幸せを見つけていく。
道後で生まれ育った著者が、幼いころから身近に感じてきた「へんろ宿」。
巡礼者たちを温かく迎える「お接待」という伝統を背景に、生きづらさを抱えた現代の人々の苦悩と再生を描く、著者の新境地。
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