押伏村には、六十歳を越えると蕨野という丘へ棄てられる掟がある。<br />だが、死を待つ老人たちは悲惨で滑稽な集団生活を送りながらも、生への意志を逞しくしていく。<br />死してなお魂は生き永らえるのか? 棄てられた姑と嫁の心の対話を通して、人間の「生」の本質に鋭く迫る、平成日本によみがえる衝撃の棄老伝説。<br />恩地日出夫監督、市原悦子主演で2003年に映画化。<br />解説・辺見庸