言霊の大いなる循環をおそれた万葉集の詩人たち。<br />権力と性愛のふたつの糸が織りなす源氏物語。<br />霊性の贈与を信じ自らを投げ出した親鸞。<br />東海道中膝栗毛の驚くべき軽さと、その底に広がる深淵――。<br />古典文学がいまなお私たちを魅了するのは、自然と文化が分離されない「大地」に、その言葉が根をおろしていたからだ。<br />霊、貨幣、共同体、そして国家をめぐる思考から、日本人の無意識を揺さぶる19の古典に迫る。<br /> 解説・酒井順子