美形なあやかしにいざなわれ……異種間ラブロマンス。<br />同窓会でなつかしそうに声をかけてきた藤枝薫を、松原美紀は少しも覚えていなかった。<br />卒業アルバムにも文集にも、彼の痕跡はなかった。<br />だが「彼を知っている」という感覚に囚われて美紀は自分の記憶を懸命に掘り起し、小学生のころ藤棚で出会った‘お兄さん’だと思いだす。<br />そこへ突然姿を現わした‘お兄さん’に「藤の精である」と告げられるのだが……。<br />