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飛燕の小太刀

葛飾郡行徳の浜に一隻の小舟が流れ着いた。
舟のなかに倒れていた若い侍は、背中に斬られた痕があり、昏睡状態だった。
浜の連中に助けられ、ももんじ屋「入船屋」に運び込まれた男は意識を回復するものの、名前や経歴をいっさい覚えていなかった……。
袂に入っていた手紙によって、名前は誠四郎とわかるものの、苗字は不詳。
ただ、入船屋で料理を手伝い、自分にその筋の才能があるらしいことが唯一の手がかりだった。
喪われた記憶を求めて江戸に向かった誠四郎だが、そんな彼を待っていたのは、何者とも知れぬ刺客の凶刃。
敵と立ち合うことで、自分に剣の腕があることを知った誠四郎は、自らの身の上の背後にうごめく秘密を暴くべく動き出した。




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