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へっつい河岸恩情番屋

能勢伝七郎は家禄二百五十石の小旗本。
幕府表御祐筆の役に就いていたが、四十四になった今年、家督を倅の伝之助に譲って隠居した。
日々の煩わしさから逃れたかった伝七郎が選んだのは、幼馴染みの町名主に紹介された日本橋難波町の自身番屋の‘書役’。
自身番の仕事など気楽だと聞いて、その気になったものの、雑事諸々の人集め、行き倒れの世話、悶着の仲裁から夫婦喧嘩の宥め役まで押し付けられて、‘ついで仕事’のほうが手間がかかる面倒な日々だった。
そんな折、共に自身番屋に詰める大家の五郎兵衛が、倅の不始末を騙った詐欺に巻き込まれ、七十五両を奪われる事件が……。
情緒豊かに描く江戸人情番屋物語。
書下ろしシリーズ第二弾!




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