おいしくて、いとおしい。<br /> 同棲していた恋人にすべてを持ち去られ、恋と同時にあまりに多くのものを失った衝撃から、倫子はさらに声をも失う。<br /> 山あいのふるさとに戻った倫子は、小さな食堂を始める。<br /> それは、一日一組のお客様だけをもてなす、決まったメニューのない食堂だった。<br /> 巻末に番外編を収録。<br />