氷室大造、75歳。<br />妻に先立たれてから、楽しみといえば近所の公園で老人仲間と会うことくらい。<br />このまま静かに人生の幕は閉じていくように思われたが、晩春のある夜、とんでもない「まさか」が起きる――。<br />騙されることへの不思議な感覚、亡き妻への思い、罠を逆手にとる知恵。<br />独居三老人が繰り広げる「詐欺」の物語は、ユーモアと切なさを漂わせつつ、ついに唖然とする結末を迎える。<br />人生の味がする熟成エンタテインメント小説。<br />