君枝には日常的に不思議なことが起こる。<br />トルソーがしゃべる。<br />大人の傘で宙に浮く。<br />植物の家族と暮らす。<br />高校の教室が海になってあふれだす……。<br />誰にも見えないものが見え、ありえないことを体験してしまう彼女を「不思議体質」と呼んだのは、幼なじみの陸。<br />君枝を理解していたのは陸だけだった。<br />でも、あの頃の二人は、お互いの大切さに気づくことができなくて──。<br />恋と孤独と清冽な願いがアドレッセンスな心を揺さぶる感動作