高校生・田井中広一は黙っていても、口を開いても、つねに人から馬鹿にされ、世界から浮き上がってしまう。<br />そんな広一が「この人なら」と唯一、人間的な関心を寄せたのが美術教師の二木良平だった。<br />穏やかな人気教師で通っていたが、それは表の顔。<br />彼が自分以上に危険な人間であると確信する広一は、二木に近づき、脅し、とんでもない取引をもちかける――。<br />2019年ポプラ社小説新人賞受賞作。<br />