頭に聞こえてくる死者からの伝言を相手に届けるうちに、「ことづて屋」を名乗るようになった津多恵。<br /> 届ける人や言葉はいろいろ。<br /> 「ママを守って」と幼い息子に言い遺した父親から、改めて息子へ。<br /> 夫から老いた妻へ大事な物の隠し場所を。<br /> 熊谷空襲で死んだ親友が70年ごしで明かす秘めた恋心。<br /> そして、来ると約束したのに現れなかった恋人からの言葉。<br /> それは震災後の計画停電の夜で──。<br /> 人の気持ちによりそう優しい物語。<br />