児童養護施設で暮らす花は、夏を迎えて18歳になった。<br />翌春には施設を出るきまりだが、将来への夢や希望が何ひとつない。<br />花が8歳のとき、母親が無差別殺人の罪で逮捕・勾留されて以来、彼女の心には何物も入り込む余地がなくなっていたのだった。<br />ある日、ボロボロのぬいぐるみを抱えた女の子・晴海が施設にやってくる。<br />必死になってぬいぐるみを抱きしめている晴美の姿に、花はかつての自分を重ね合わせていた……。<br />