何をやってもうまくいかない「ボク」は、明日が見えない闇のなかでもがいていた。<br />そんなある夜、ぶらりと立ち寄った小さな飲食店で、さまざまな猫の特徴がしるされた一枚の紙に心をうばわれる。<br />それは店で料理をつくる夢ちゃんが描いた「猫の家族図」だった。<br />行き場を失った猫に寄りそう彼女は、「ボク」に猫と自分の秘密を打ち明け、ふたりは大切な約束をする――。<br />夜の底からあふれだす優しさ、胸に灯る温かないのちの物語。<br />