「どちらまで?」 「じゃ、風町、まで」 その町へ行くのに、特別な切符や旅券はいらない。<br /> ナンバーに7のついた黄色いタクシーで行けるというけれど、その町がどこにあるか運転手も知らない。<br /> 「風町」と呼ばれる架空の町でひっそりと紡がれる、ちょっと不思議で心地よい日々。<br /> 「風町から」「風町まで」の二部構成で三十一の短編を収録した、心がほぐれる束の間のファンタジー。<br />