著者玄田彩さんの80年の足跡を小説仕立てでまとめた随筆集である。<br />「生みの母」「育ての母」「義理の母」と3人の母に囲まれ、育った玄田さんの歴史は、一口で語ることはできない。<br />また、商売での苦難の経営も血を吐く思いで綴られている。<br />それにしてもこころの中には、つねにかぐわしい花たちが咲きほこり、乱れたこころを癒してくれる。<br />死別した夫のことなど、彼女の歳月が走馬燈のように蘇り、新たな感動を呼び起こすのに十分な筆力が全体をりりしくまとめ上げられている。<br />