本当の倖せはそこにある。<br />――日本橋の廻船問屋の番頭・栄助の前に現われたのは、以前同じ店で働いていた愚図でのろまの権助だった。<br />しかし、権助が庄内酒田の出店の主に昇格したと聞いて驚きと同時に嫉妬の情が湧きあがり……ほかに、葬具屋、花屋、夜逃げする呉服屋など、名手が日本橋に生きる人びとの悲喜交々を描く傑作短篇集!