煽動者
そのテロ組織の名は「V(ブイ)」。
目的は、流血によらず現政府への不信感を国民に抱かせ、その転覆をめざすこと。
メンバーは平日、一般人を装い、週末だけミッションを実行。
各人はコードネームを用い、お互いに本名も素性も知らない。
僕――片桐も組織の一員で、平日は30代前半の会社員、週末はコードネーム「春日」として活動している。
この週末、兵器製造のため軽井沢の施設に招集されたのは僕を含め八人。
見た目は60代から20代まで、やはり週末テロリストの男女が召集された。
施設は表向き企業の研修所となっており、外部からの侵入は不可能。
出入りの際は、八人のメンバーの掌紋認証が記録される仕組みになっている。
今回のミッションは、<子供>という切り口から、政府を揺さぶり、言わずもがな流血や殺戮をしない<兵器>を製造することだった。
僕たちメンバーによる侃侃諤諤の作戦会議が終了し、兵器製造に取りかかっている最中、メンバーの一人が扼殺される事件が発生した。
施設は部外者の侵入は不可能、テロリストが警察を呼ぶわけにはいかない。
犯人はメンバー七人のうちの誰かだが、お互いに素性を知らないメンバー間でなぜ殺人が起こるのか、誰も動機を説明できない。
肝心の探偵役は不在、つまり全員で推理をするしかない。
そして組織の<兵器>製造命令は絶対。
週明けには一般人に戻らなければならない刻限下、閉鎖状況で犯人推理の頭脳戦が始まった――。
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