美術館で働きはじめて三年、学芸員の三倉歩は念願の企画展のサブ担当となった。<br />開催は二年後だが、貸し出される名画の数々を現地で見たいと夏休みを利用して東欧の国ルーシェの美術館を訪れた歩は、かつて王宮だったその一室でクラシカルな軍服姿の美丈夫から、「やっと会えた」と抱き締められてしまう。<br />彼は二百年前にこの国を治めた皇帝ミハイル。<br />歩は愛し合いながらも結ばれず死に別れた世話係レナートの生まれ変わりだと言われ…。<br />