とあることから社会のアウトサイダーとなった著者が、バイオレンスとドラッグにまみれて堕ちていった過去と決別すべく、ひとつの区切りとして書いた半自伝的小説。<br /> 父性の否定と他者とのかかわりへのニヒリズム、人を愛することへの希求と諦観、そして何よりも自分という存在への絶望を描く。<br />ある時代を投影する「個」の存在を書きつくした秀作である。<br />正統派の作家性をもった新たな書き手の登場。<br />