「田園の憂鬱」とならんで作者の青春記ともいうべき作品である.「田園」における主人公・妻・2匹の犬は東京の日の当たらない崖下の家に無為の生活を送る.自己の文学的才能への疑惑,無名の新劇女優である妻との確執など――.作者はこの作品を書くことによって,「田園」に含まれていたモティーフを完成し,真の自己の領土を発見した.(※本書は1983/1/1に発売し、2022/3/10に電子化をいたしました)